田舎の家賃の安さに潜む罠。移住して学んだ田舎で賃貸物件を探すコツ

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田舎暮らし、移住、二地域居住など、どれを実現するにも「家」は必ず避けて通れない道だ。
その「家」なのだが、田舎だと家賃が安いと田舎暮らしのメリットとして述べているサイトや記事がたくさんある。


しかし、果たして本当にそうだろうか。


実際に私が住んでみて感じたのは、違う感覚だった。


確かに過ごしていくうちに安い家賃で住むことができた人や安く家を購入できた人たちの話を聞くこともあった。
ただ、田舎暮らしを始める人がすぐに「家賃が安い賃貸物件・安い一軒家」を見つけられるかというと、とても疑問だ。

今回はその点を踏まえ、田舎での家探しのコツを紹介したい。


不動産会社を通したら安くない


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まず家を探す場合、最初の選択肢にあがってくるのが「不動産会社」だと思う。
しかし、不動産会社は基本的に安い賃貸物件を取り扱ってない場合が多い。

なぜなら仲介手数料をもらう商売だから


賃貸物件の契約において不動産会社の売上になるのは「仲介手数料」だ。
通常、賃貸物件の仲介手数料は家賃一ヶ月分である。
つまり、家賃が安い物件ほど自社の売上が少なくなる。
でも作業にかかる手間は変わらない。

そうなると自然に不動産会社が安い賃貸物件を取扱うことが少なくなるわけだ。

たまに不動産会社でも見かけることもあるが、それはよっぽど取扱う物件が少ないか空き家活用に困っている友人・知人から頼まれたからやっているような友人プライスのことが多い。

私も実際に住んでいる町で賃貸できる空き家を探したことがある。
たまたま不動産会社の知り合いで家を貸してもいいと言っている人が見つかった。
私も大家さんも不動産会社を通して契約した方が安心だということで、そのまま契約までその不動産会社に依頼した。

そして、大家さんに家賃について聞いた。


私:
借りるとしたらいくらで借りられますか?


大家さん:
1万でいいよ。

不動産会社:
いやいや、旦那さん!そりゃー安すぎますって。こんなにいいお家なんですからもっと頂きましょう!3万でどうでしょう?

大家さん:
じゃあ3万で!

私:
ハハッ・・・(苦笑)。


とにかく安い家賃に対しては敏感に反応するし、やりたくない作業になってしまうのだと感じたやりとりだった。
商売なのだからしょうがないのだが、田舎というと優しいイメージがあっただけに残念である。

そもそも不動産会社さえない自治体だってある


自治体によっては不動産会社が地域内にないところもある。
その場合、自治体で不動産会社の代わりを行っていることが多い。

ただ大きい自治体ではまず不動産会社があるので、この場合は村もしくは小さい町に限られてくるだろう。

自治体対応の場合、商売ではないので上記の私の実体験のようなことはなく、家賃が安いまま借りられることも十分にありえる。

家を探す上で「自治体が賃貸の紹介・契約までやっている」というのは安い家賃で田舎に住むためには大事なポイントである。

世間でいう田舎の安い物件は地域の人の紹介がほとんど


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ここまでの話を読むと、じゃあ不動産会社があるような自治体で安い賃貸物件はどうやって探すの?って疑問が浮かぶと思う。

私の周りで安い家賃で借りている人たちに話を聞くと

「近所の人に紹介してもらった」
「仕事先の上司のお父さんが所有者さんと知り合いで紹介してもらえた」
「家を探していると聞きつけて、ある地域の人から家を紹介したいと連絡があった」

など、ほとんどの回答が誰かに紹介してもらっているパターンである。

所有者も貸してもいいとは思っているが、ご近所に迷惑をかけたくないため全く知らない人には貸さないという人が多いのだ。
だから結果的に紹介が多くなり、不動産会社にも載らないのである。

つまり、田舎で安い賃貸物件が見つかる可能性を高めるには、紹介してもらえそうな人と関係を作るべきである。

だからこそ二地域居住について書いた下記の記事でも触れたが、とにかく事前に訪問し関係性を作るのが大事なのだ。

www.inabigi.com


じゃあ住みたい地域に何も伝手がなければ安い家賃の家に住むことができないってことなのだろうか。

いや、そういうわけでもない。
何も伝手がなくても安いとこに住む方法がある。

市営(町営・村営)住宅を借りる


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大多数の自治体は戸数に違いはあるだろうが、自治体運営住宅を持っている。
家賃は収入によって異なるが一番安いと1.5万円程度で借りることができる。

下手をすればその自治体運営住宅にでさえ、移住支援制度がある自治体さえある。
www.town.otofuke.hokkaido.jp


畑とかをやりたいから庭付きがいいなんて人もいるだろう。
でも畑などは移住して関係性を作ってから別途借りればよい。

こちらの記事でも紹介したが、今畑をやっている若者は減っている。

www.inabigi.com



畑をやっているのはおじいちゃんおばあちゃんの高齢者ばかりだ。
つまり、これまで畑をやっていたけど放置され、余っている畑地なんてたくさんあるということだ。
そういう人たちと仲良くなれば、安く借りられるどころか無料で借りられる場合だってあるのだ。

話は少しそれたが自治体運営住宅を検討するならば、注意点がある。
それは年収による制限を設けている自治体が多いことだ。
加えて前年の年収が条件だったりするので、現在は無職でも断られる場合があるので借りようと考えている人は注意してもらいたい。

でも破格の家賃で安心して借りられるのは願ってもないことなので、検討はしてみてもいいだろう。

家賃が安ければいいってもんじゃない


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ここまで家賃が安い賃貸物件を探すためのコツについて書いてきたが、安いからこそのリスクもあるので、その点についても触れておきたい。

修繕対応してくれない


普通に都市部で賃貸物件を借りた場合、水回り設備、建物の破損などは管理会社が修繕対応してくれることだろう。

安い家賃で個人から借りた場合、こういった修繕対応をしてくれない場合がある。
いい大家さんならいいが、借りてからそういうのは自分で直してと言われる場合もあるので、契約前によく確認しておくべきだ

トラブルになるとめんどくさい


修繕もそうだが、退去時にトラブルになることが多いのが、賃貸物件のデメリットだ。
安い家賃の場合はろくに確認もせずに貸すことが多い為、そっちが傷つけたなど言いがかりのようなことも発生する恐れがある。

個人間の契約だと言った言わないの話になるし、解決までに時間もかかる。
また酷い時には地域内に悪い噂を広げられてしまうこともあるだろう。

もしそのリスクを承知の上で個人から借りるのであれば、ぜひ不動産会社を通すことをオススメする
多少なりとも上記であげたようなリスクが発生する可能性が減るからだ。

とにかくトラブルは回避したいというのであれば、それなりに家賃を払って借りるしかない。
家賃というのは「安心」を買っているようなものなのである。

おわりに


田舎で賃貸物件を探す時は

「安心感」を重視したいなら管理会社が入っている賃貸物件
「安さ」を重視したいなら人に紹介してもらうor自治体運営住宅

がよいだろう。

もう色々情報が多すぎてわけがわからんという人は役場の「移住担当者」に相談してみるのをオススメする
その地域の家の探し方には一番熟知しているはずだ。

最後に田舎の賃貸物件に対するイメージについて伝えたい。
多くの人が勘違いをしているので、認識を改めてほしいと思っている。



田舎の家=安い家賃


ではなく


田舎の家=金額の割に広い家に住める


なのである。

私が移住して来て感じた違う感覚とはまさにこのことだ。

これから家探しをする人にはこのイメージを踏まえた上で、家探しを行ってほしい。
その結果、安い賃貸物件が見つかったならば、それはとてもラッキーなことなんだと。

田舎=家賃が安いのイメージで臨むと落胆することばかりだろう。

安いコストで住める家を見つけることは田舎暮らしにとっては重要なことだ。
色々情報を仕入れて迷うこともあるだろうが、ぜひ妥協せずに、そして諦めずに探してみてほしい!