移住してみて思う「二地域居住」をやめた方がいい理由
ここ数年でよく聞くようになった「二地域居住」。
人によっては「二拠点居住」や「週末移住」といったワードかもしれません。
※この記事では「二地域居住」で統一します
国土交通省も推進しています。
www.mlit.go.jp
私も移住前に「二地域居住」を調べたことがありますが、田舎暮らしをしたいという想いは移住しないと叶えられないと考え、その選択はしませんでした。
実際に田舎暮らしを始めてみて、なおさらその選択は間違ってなかったと感じています。
「二地域居住」に興味がある方はぜひ一度見てもらえればと思います。
二地域居住とは
まず話をする前にそもそも「二地域居住」ってなんだっけ?という方のために簡単に説明をします。
国で具体的に定義が決まっています。
「二地域居住」とは、都市住民が、本人や家族のニーズ等に応じて、多様なライフスタイルを実現するための手段の一つとして、農山漁村等の同一地域において、中長期(1~3ヶ月程度)、定期的・反復的に滞在すること等により、当該地域社会と一定の関係を持ちつつ、都市の住居に加えた生活拠点を持つこと。セカンドハウスは含むが、避暑・避寒は含まない。
出典元:国土交通省・農林水産省「半定住人口による多自然居住地域支援の可能性に関する調査」
簡単に一言でいうと
定期的に田舎に通う+生活する拠点がある
です。
じゃあ二地域で生活することによって、どんなメリット・デメリットがあるの?ということなんですが、
参考までに他のサイトで紹介されている「二地域居住」のメリット・デメリットを紹介します。
「二地域居住」のメリット・デメリット①
【メリット】
- 都会と田舎のいいとこどりができること
- 生活基盤を変えずに新しいライフスタイルができること
【デメリット】
- 移動時間の無駄
- 家の管理コストが二重にかかること
「二地域居住」のメリット・デメリット②
【メリット】
- 子どもたちに自然溢れる場所で過ごさせることができる
- 会社の仲間や友人を招いてパーティができる
【デメリット】
- 家の管理費がかかる
- 移動にかかる交通費の負担
デメリットはお金に関することばかりが書かれているサイトが多いですね。
一般的には上記のようなことを紹介しているサイトがたくさんあります。
そんな中で
私が実際に田舎暮らしを始めてこれは二地域居住は難しいな
と感じたことがあるのです。
二地域居住を辞めた方がいい最大の理由「地元住民に理解されない」
「二地域居住」という平日は都会、週末は田舎というライフスタイルを送るだけであれば、いくらでもやろうと思えばできます。
ただ田舎で過ごしていく上ではご近所付き合いは必ず発生します。
田舎におけるご近所付き合いの基本の「き」(前編) - いなビギ!
田舎におけるご近所付き合いの基本の「き」(後編) - いなビギ!
こちらの記事でも紹介したように「社会奉仕」や「区費」や「消防団・青年団」など集落ルールがあり、これらは集落における「信頼の証」でもあります。
つまりここを疎かにすると村八分のような扱いを受ける恐れがあるわけです。
そういった集落作業連絡は回覧板であったり、直接訪問してくれて教えてくれたりします。
そんな中で平日は家にいない、下手したら週末さえいない日があるなんて人がいても信頼できないですよね?
都会であれば電話やメールでもいいのかもしれないですが、田舎では顔を見て直接話すことが割と重要視されます。
そうなってくると過疎化が進んでいる田舎でさえ、そんな人ならこの地域にいてもらわなくても構わないという人も出てきます。
私の周りでも移住や遊びに来たと説明すると
「おー、よくこんなところに来てくれたね」
と言ってくれますが、週末だけもしくは定期的にここに住んで活動しますと説明すると
「社会奉仕は?庭の管理はどうする?連絡したい時はどうしたらいい?」
などと目の色を変えて色々と突っ込まれます。
そういったことを考えると二地域居住をするには地元住民の理解が本当に重要です。
自分がなぜそういった生活を送りたいのかを説明したり、家にいない間の管理について伝えておくなどせめてその地域にいない時にフォローしてくれる人を作っておくことが必要です。
全ての地元住民に理解してもらえればいいですが、全ての方にこの考え方を理解してもらうのは難しいことでしょう。
それでも「二地域居住」がしたいなら
困難だと理解してそれでも「二地域居住」が自分に一番合うライフスタイルだと思う方は思い切ってやってしまいましょう。
ただ、それも移住と一緒で事前準備が大切なのはお忘れなく。
いきなり二地域居住を始めるのではなくまずは関係作りから
とにかくいきなり新しい土地で「二地域居住」を始めるのはNG。
関係性作りという点でまずは何度もその土地に足を運びましょう。
まずはその土地で頼れる存在を作ることで、「二地域居住」をする上での相談にものってくれるはずです。
少しでも多くの住民に自分を知ってもらうことが地元住民理解に繋がります。
田舎付き合いが緩い場所を選ぶ
だいぶ限られた場所にはなってしまいますが、田舎ながらもこういった場所は存在します。
周りに家がない、都会よりの地方都市、分譲地などのヨソモノが多く集まっている土地など
そういった場所を絞って探してみるのもありでしょう。
「地元住民の理解」さえ必要なければ、あとのデメリットはお金で解決できることばかりです。
二地域居住を支援している自治体
自治体でも二地域居住を支援しているところがあります。
特に関東近郊がたくさんあって支援が充実しています。
二地域居住実践者のブログ
リアルな情報を仕入れたいならやっぱり「ブログ」。
ブログを読んで、二地域居住の暮らしのイメージをしておきましょう。
まとめたものを「実際どうなの?二地域居住。リアルを知れる実践者のブログまとめ - いなビギ!」で紹介しています。
ぜひご覧ください。
二地域居住実践者の書籍
二地域居住実践者として参考になるのが、『週末は田舎暮らし---ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記』。
東京と南房総との二地域居住をしているごく普通の5人家族の話です。
苦労したこともたくさんあるけれど、二地域居住したからこそ「新しい生き方」が見えたそうです。
また「自然の中で子育てをしたい」ことをキッカケに始めたため、子育て目線での情報もたくさん書かれています。
二地域居住を検討している子育て中の家族ならば、一度は目を通しておくことをオススメします。
本当にこのまま都市部に住んでていいのかな?と思わせてくれる、田舎暮らしに興味がある人ならおもしろい本です。
おわりに
色々と「二地域居住」について辞めた方がいいと述べてきましたが、決して実現不可能というわけでなく場所をしっかり選べばもちろん実現可能です。
むしろ、「二地域居住」ができれば「都市」と「田舎」の両方のメリットが得られるわけなので、実現できれば本当によいことだと思っています。
ただ、サクッと始めようと思って成功するものでもなく、
理想的な二地域間での生活を送るのは難易度が高い
ということです。
よく「本格的な田舎暮らしをする前に『二地域居住』から始めた方がよい」というような内容のサイトを見かけますが、この勧め方には不安を感じます。
なぜなら「二地域居住」をするよりも、移住してしまった方が楽な場合が多いからです。
記事上部でも紹介したように「地元住民に理解してもらう」ことが何より二地域居住の実現にとっては困難な課題です。
ただでさえ「移住」という地域外からきたヨソモノを受け入れることでさえ、地元住民にとっては大変なことです。
それなのに「二地域居住」という地元に根付くつもりが感じられない人を受け入れるなんて、よっぽど理解がある人でないと難しいでしょう。
もし田舎暮らしを体験したいという想いだけで始めるのならば、月1~2回でも地域の畑作業を手伝うなど定期的に訪問するだけでも十分だと思います。
ぜひ「二地域居住」に興味がある方は一度ご検討ください。
仕事?物件?田舎暮らしの情報収集に役立つサイトまとめ - いなビギ!
【迷っているならまずチェック】田舎暮らしのメリット・デメリット - いなビギ!
田舎の家賃の安さに潜む罠。移住して学んだ田舎で賃貸物件を探すコツ - いなビギ!